教育プログラムが必要な背景
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マクロ(社会全体)の視点
AIやロボットなどの新しい技術の急速な発展、環境問題に伴う災害の増加など、ますます変化が激しくなり、将来の予測も困難です。専門知識に安住することなく、変化に対応し、柔軟に学び直せる「自学自修型」の人材になることが必要とされています。
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ミクロ(香川県)の視点
香川県は、慢性的な人手不足で、全国平均を超える高い有効求人倍率があるにも関わらず、大学進学者の約8割が県外へ進学し、その多くが香川県へUターン就職することはありません。
一方、専門学校の在校生の約7割が県内出身者で、そのほとんどが県内で就職しています。 -
企業の視点
日本経団連のアンケート調査によると、企業が人材を採用する際、「コミュニケーション能力や主体性を重視している」が調査開始以来、最上位となっています。
そして企業は、新人を採用しても、3年3割と言われる早期離職、人材育成の余裕不足を解消したいと考えています。
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高校の課題
▼低い自己効力感
「18歳意識調査」※1によれば、「自分で国や社会を変えられると思う」という回答は18.3%。また、「高校生の生活と意識に関する調査」※2においても「自分はダメな人間だと思うことがある」と回答した者が72.5%になっており、国際的に見て、日本の高校生だけが突出しています。
※1 日本財団が2019年に実施
※2 国立青少年教育振興機構が2014年に実施▼キャリア教育の不足
「もっとたくさんの仕事があることを知ってほしい」という高校教員の声がある一方で、高卒で就職した卒業生からは「もっとたくさんの仕事があることを知りたかった」という切実な声があり、高校段階で職業意識を持たせることの難しさをうかがわせます。
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専門学校の課題
▼専門知識・技術の陳腐化のリスク
専門学校においては、企業との接点の多い出口に接している学校でありながら、企業が選考で重視し、求める能力として挙げているコミュニケーション能力や主体性など非認知能力の養成という点においては企業ニーズに応えきれていないのが現状です。
加えて社会の変化のスピードが加速化する中、専門学校で身につけた専門知識や技術もまた陳腐化していくリスクにさらされています。▼非認知能力を養成することの重要性と難しさ
全国専門学校教育研究会の調査においても、社会で求められている力として学び続ける習慣、困難に直面しても粘り強く取り組む力など、非認知能力の重要性は各校が認識していながらも、非認知能力の養成までも目的とした組織的な取り組みは、なされていません。
これらの課題解決のために取り組む3つのこと
- 安易な進路選択を防ぎ、ミスマッチをなくす。
- 専門学校の専門教科や資格取得等の過程で、非認知能力(目標達成力や学び続ける習慣など)を高め、進学先としての魅力向上につなげる。
- 認知能力と非認知能力を兼ね備え、社会に出てからも活躍し続けられる専門人材を育てる。
「香川で学び、香川で働きたい」
と思う若者が増えることが重要